2015年12月、シェフパティシエール岩柳麻子が自身の名を冠した【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】を東京都世田谷区等々力にオープン。定番のショートケーキや季節のケーキなどの生菓子の販売と、旬のフルーツを主役に月2回のペースで新作が発表される「パルフェビジュー®︎」を求め、全国からファンが足を運ぶ。「パルフェビジュー®︎」は平均単価5,000円~8,000円、完全予約制というハードルの高さながら、9年目を迎えた現在も週末は予約開始後すぐ満席となる人気店。
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI
岩柳麻子 氏
いわやなぎ・あさこ●東京都生まれ。染色家を目指し、桑沢デザイン研究所を卒業。飲食店でのアルバイトをきっかけに、独学で技術と知識を身につけ、2005年「パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ」を始動。2015年に独立し【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】を開業。【ASAKO IWAYANAGI PLUS】、【ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ】に続き、2023年には【ASAKO IWAYANAGI FUKUOKA】もオープン。唯一無二の世界観で、東京でも指折りのパティシエとして全国にその名を轟かせる。
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI とは
昔も今も変わらない、“人を呼び寄せる、おいしさ”
スイーツの名店ひしめく自由が丘から3駅と、決してアクセスが良いとは言えない等々力へ、全国のファンが目指してやってくる【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】。
東京でも指折りの女性パティシエとして名の挙がる岩柳氏は、もともと染織家志望というユニークな経歴をもつ。名門とされる桑沢デザイン研究所で染織を学び、課題の制作費などを捻出するために、カフェやデリ、アイリッシュパブなど飲食業界でアルバイトした経験が、食の世界へ進んだきっかけになったと言う。
「卒業後、染色家を生業とする未来を考えた時に、表現した作品を見てもらうためには、自分自身をブランディングしていく必要性を感じていました。一方で、アルバイト先の飲食店には常に人が集まるのを目にしていたので、まずは自分の作品を展示する場所に、おいしいお菓子やお茶を用意して、人が集まる仕掛け作りから始めました。初めは自分の展示会などで出すお菓子作りがメインでしたが、そのうちケータリングを頼まれたり、新しくオープンするカフェメニューの監修や料理研究家のアシスタントなどのオファーもいただいて、気付けば食にまつわるお仕事が本業になっていた感じです」
製菓学校出身でもなく、パティシエ志望でもなかった岩柳氏の作るお菓子が評判を呼んだ背景には、その卓越したセンスと、“必然”とも言える食へのルーツがあった。
「祖母が手作り菓子を販売していたり、母は若い頃に料理研究家の家に住み込みで仕事を手伝っていたりと、私もその影響で子どもの頃からお菓子作りが好きだったので、手作りの“おいしさ”が常に身近にあったのだと思います」
新たなお菓子を生み出し続ける原動力は、出会いがもたらすインスピレーション
その後も、ほぼ独学でお菓子作りを極めていった岩柳氏。
「お菓子の基本を学んできたわけではなかったので、料理研究家のもとで経験を積みつつ、フランス帰りのパティシエからプライベートレッスンを受けたり、3ヶ月ほどフランスで学んだり、有名シェフの講習会で勉強したりと、現場で技術を習得していきました」
2005年に仲間と【パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ】をオープンすると、6店舗まで拡大したが、「自分はお菓子作りだけに集中したい」と、現在の等々力に拠点を移し独立。2015年、【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】が誕生した。「地域に根ざした店でありながら、お客様にとって唯一無二のスペシャルな店にもなりたい」という岩柳氏の想いの通り、開店当初から急速にファンを増やし、憧れのパティスリーとして全国にその名を轟かせていく。
「パルフェビジュー®︎」の提供と生菓子のテイクアウトを中心とした【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】のほか、2018年に焼き菓子やパンのテイクアウトを主体とした【ASAKO IWAYANAGI PLUS】、2021年にモーニングからアフタヌーンティーも楽しめる【ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ】に続き、2023年には【ASAKO IWAYANAGI FUKUOKA】もオープンした。2024年現在、9年目を迎えた今も、週末は予約開始後まもなく満席になる人気ぶりがうかがえる。
スペシャリテは、旬のフルーツをあしらった宝石のような「パルフェビジュー®」。季節により5,000円から10,000円という一見ひるむ価格ながら、今や【PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI】の代名詞ともいうべき、美しさと美味しさをあわせ持つ才色兼備のデザートだ。
「旬のフルーツを中心に、ジュレやソースなど多彩な素材を組み合わせて構築したパフェは、季節のうつろいを表現するだけでなく、果物をそれ単体で食べるよりおいしく味わってもらえるよう工夫を凝らしています。月2回のペースで新作が登場するのですが、パフェのトップからボトムまでさまざまな食感をとり入れ、酸味や塩気のあるパーツを重ねてアクセントを付けるなど、毎年同じ内容にならないよう新鮮な構成を意識しています」
旬のフルーツで彩られる【パルフェビジュー®】。そのパフェの構成が丁寧に描かれたスケッチと共に提供される。
旬の素材を主役にした”宝石のような”パフェやケーキが引き立つよう、店内は左官を中心にグレーで統一。華美な装飾をそぎ落とした内装や、ガラスケースを照らすスポットライトのような照明など、美術館さながらのスタイリッシュな空間は、一つ一つのスイーツを作品のように愛でるにふさわしい。
「地域に根ざした店でありながら、お客様にとって唯一無二のスペシャルな店にもなりたい」という岩柳氏の想いの通り、開店当初から急速にファンを増やし、憧れのパティスリーとして全国にその名を轟かせていく。
色はグレーで統一しながらも左官やガラス、ステンレスなど多様な素材を使うことで美術館さながらのスタイリッシュさを演出している。
美しさと美味しさを持ち合わせる「クレープビジュー」
「パルフェビジュー®」と同じく“ビジュー”を冠する、もう一つの看板メニューが「クレープビジュー」だ。2018年の【ASAKO IWAYANAGI PLUS】のOPENと同時に提供がスタートし、「パルフェビジュー®︎」をクレープに再構築した一品。現在は【ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ】で提供している。
その時々の季節に応じたトッピングで様々な味わいや彩を楽しむことができる
「表面はパリッと香ばしくもちっとした食感が自慢のオリジナルクレープ生地に、旬のフルーツやなめらかなジェラートを包んで仕上げるクレープです。こちらも季節のフルーツを主役に新作を発表しているのですが、新作を召し上がるお客さまにとって、ビジュアルだけでなく、素材の持つ味わいも、驚きや新たな発見に繋がるよう、“体験価値の提供”を目指しています」
名声を得てもなお現状に甘えることなく、パティシエの第一線を走り続ける岩柳氏。その原動力は、お店が掲げる、“インスピレーションの始まりは、あなた”というコンセプトにも込められていると言う。
「振り返ってみると、これまで出会った人やモノから得たインスピレーションを受けて、お菓子作りを毎日続けられていることに気づきました。新たな出会いや発見に心を躍らせ、幸せそうに頬張る姿を思い浮かべながら、今後も自分ならではの唯一無二のお菓子を創作していきたいです」
CHEF’S COMMENTS
シェフからのひとこと
「“ビジュー(宝石)”の名を冠し、華やかな美しさと美味しさを兼備する「クレープビジュー」を、ご自宅でも手軽に楽しんでいただけるように、今回のキットのためにレシピを考案しました。
お店で人気の『クレープビジュー』で使用しているジェラートと、イチゴムースを軸に、クレープを巻いて組み立てます。イチゴなどのベリー類の他、ご自宅で手に入りやすい季節の素材やミントやエディブルフラワーなどをトッピングするだけなので、誰でも簡単に作ることができます。
またクレープの巻き紙もお店で使用しているものを提供させていただいておりますので、味わいだけでなく見た目も楽しんでいただけたらと思います。
旬の素材やトッピングを自分好みに盛り付けてご自宅で気軽にオリジナルの『クレープビジュー』を楽しんでください。」
このお店の商品
名店のこだわりを知る
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI / 岩柳 麻子 氏
美しさと美味しさを兼ね備えた菓子を求め全国からファンが訪れる名店。
京天神 野口 / 野口 大介 氏
趣向を凝らした料理と温かいおもてなしで人々を魅了する京都の名店。完全予約制。
やまぐち / 山口 正 氏
完全紹介制にも関わらず2年先まで予約が埋まる京都祇園のイタリアンの名店。
緒方 / 緒方 俊郎 氏
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予約受付開始と共に即満席となる完全予約制のビリヤニ専門店。
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Nabeno-Ism / 渡辺 雄一郎 氏
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4000 Chinese Restaurant / 菰田 欣也 氏
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マンチズバーガー シャック / 柳澤 裕・裕美子 氏
国内外から高い評価を得ており、海外VIPも歓喜した名店。
シバカリーワラ / 山登 伸介 氏
カレー激戦区・三軒茶屋で常に行列が絶えない。TVにも多く取り上げられる人気店。
TACUBO / 田窪 大祐 氏
「ミシュランガイド東京2017」以来連続掲載。毎月、すぐに満席になる予約困難店。
とんかつ成蔵 / 三谷 成蔵 氏
「ミシュランガイド東京 2017」以来掲載(ビブグルマン)。とんかつ業界をけん引する名店。
銀座しのはら / 篠原 武将 氏
「ミシュランガイド東京 2018」から一つ星。「ミシュランガイド東京 2020」以降二つ星獲得。
金色不如帰 / 山本 敦之 氏
「ミシュランガイド東京 2019」以降連続で一つ星獲得。世界最高峰のラーメン店の一軒。