クラウドファンディングで募集した開業資金500万円を2日でクリアし、963人から1300万円超えの資金を集めて、2021年8月、神田にオープンした【ビリヤニ大澤】。メニューはビリヤニ1種類のみで、炊き上がり時間に合わせてカウンター10席が一斉スタートする、世界に類を見ない完全予約制のビリヤニ専門店。予約はWebのみで、月末の1週間は定休となるため、予約日の一週間前の12時受付開始とともに即満席となる、「超」がつく人気店。

ビリヤニ大澤 大澤 孝将 氏

おおさわ・たかまさ●1989年長野県生まれ。
「日本ビリヤニ協会」初代会長。2009年に訪れた南インドでビリヤニに魅了され、帰国後、インド料理【ガラムマサラ】で働きつつビリヤニ道を追求。
間借りした【ビリヤニマサラ】がSNSで広まり、2012年に梅ヶ丘で構えた【ビリヤニシェアハウス】は、週末のみ提供するビリヤニを求め、月間来訪者273人を記録。2021年8月「ビリヤニの可能性を伝えたい」と【ビリヤニ大澤】をオープン。

ビリヤニ大澤とは

肉×米×スパイスの掛け合わせを極限まで突き詰めた、世界三大炊き込みごはんのひとつ

かつて、これほどまでに「ビリヤニ」に取り憑かれた人物はいただろうか。
ビリヤニを日本に広めた立役者・大澤氏は、15年ほど前に訪れた南インドの地方都市で、初めてその存在を知り、一瞬にして魅力にハマったという。

「最初に食べたのはチキンビリヤニだったと思います。もともとチャーハンなど味付けご飯が大好きだったこともあり、とんでもなく旨いカレー味の炊き込みご飯に出合ったような感覚で、『なんだこりゃ!?』と衝撃を受けました」

肉×米×スパイスの掛け合わせを極限まで突き詰めたビリヤニは、世界三大炊き込みごはんのひとつにも数えられ、インドやパキスタンなどでは国民食に近い認知度を誇るが、帰国後の日本ではビリヤニを提供するインド料理店自体がごくわずかだったという。現地で食べた本格的なビリヤニを求め、“ならば自分で作るしかない”と研究と料理を重ねた大澤氏。インド料理店の人気店【ガラムマサラ】に勤め、定休日は間借りして【ビリヤニマサラ】を開業するなど、ビリヤニへの探究は異常なまでに深まっていった。さらに、ビリヤニの魅力を普及させるために「ビリヤニ協会」を設立し、「ビリヤニを日本の食文化の一部にし、日本をビリヤニ大国にしてみせる」と邁進した。


「ビリヤニは一度にたくさん炊かないと美味しくならないので、あちこちの店を貸し切って100〜200人規模のビリヤニパーティーを不定期で開催したり、大鍋で炊けるキッチンと、大量に消費してくれるたくさんの同居人がいる環境として、ビリヤニのまかないがついた【ビリヤニシェアハウス】もオープンしました。

噂が広まり、月に300人ほどの人がビリヤニを求めて集まるようになりました。最初は“現地のあの味を再現する”ことを目的にしていたんですが、そのうちお客さまの中でも、より現地の味を求めたり『珍しいビリヤニが食べたい』というような知識欲を満たしたいマニア側の人たちと、『美味しいからまた食べたい』と単純にビリヤニの美味しさにハマる側の人たちの2パターンがいることに気づいて、“ビリヤニには何度も食べたくなる美味しさがある”と確認したんです。単に『珍しいから』という理由で流行りものにしたくなかったですし、そこから10年以上、珍しい種類を作るのではなく、純粋にビリヤニをどんどん美味しくしていくことだけを追求してきました」

※上手にビリヤニが炊きあがると思わず写真に収めるほど、ビリヤニを愛する大澤氏

そこまでして、ビリヤニに人生をかけるのはなぜなのか?

「おいしいビリヤニが作れなければ、自分は生きている価値がないんです。カッコつけてるわけじゃなくて、僕はビリヤニしかできない人間。おいしいビリヤニを作るためならなんでもします。紆余曲折があって、ようやくその価値に気付けました」

大澤氏が考えるビリヤニの醍醐味「味の変化」と「一体感」とは

そうして飽くなき進化を続け、2021年8月、神田にオープンした【ビリヤニ大澤】は、人気料理雑誌で14ページに渡り異例の特集が組まれ、間借り時代から増え続ける常連客を中心に、予約は常に満枠。それほどまでに“何度も食べたくなる”理由について、自身が作るビリヤニのポイントは「味の変化」と「一体感」だと大澤氏は語るが、この二つは相反するようで、共存しているという。「ビリヤニは一番下のカレーソース(グレイビー)にバスマティライスを重ね、“炊く”という工程の中で、下のグレイビーの香りがお米に移って、全体に一体感が出ます。色だけ見れば、下層から上部にかけて、グレイビーの黄色、薄い黄色、白いライスへグラデーションになっているし、味に関しても肉の旨み、スパイスの香り、お米を咀嚼した時のわずかな甘みなど、それぞれの味の変化が感じられるんですが、どの部分を食べても、ちゃんと一体感が感じられるのが、僕が考えるビリヤニの醍醐味なんです」

ビリヤニの最高値を提供するために、各工程が味にどれくらい影響するかを理解する

さらにいえば、炊きあげる時間やグレイビーの水分量が少し異なるだけで、肉、スパイス、お米の味わいや食感に大きく影響してしまうのも、ビリヤニの特徴なのだという。カレーなどの料理と異なり、完成後に「塩をプラス」したり「スパイスをプラス」したりと味の調整はできないため、【ビリヤニシェアハウス】以降ずっと同じレシピで作っているのも、大澤氏のこだわりだ。

「ただひたすら同じレシピで作り続けることで、味が変化する要素を1つ1つ探り、“どの工程がどう作用するか”を一回ずつ細かく見極めています。僕は、ビリヤニを美味しくできることなら全部やろうと思っているので、例えばお米が折れないようザルで優しく研いだり、お米がピンと立ってフワフワに炊き上がるためにお米を寝かせて敷いていく必要があるので、40回くらいに分けてお米を鍋の中に入れていくなど、あらゆる方向からアプローチを重ねています。ビリヤニの最高値を提供するために、各工程が味にどれくらい影響してるかを理解する必要があるんです」

アルミホイルで密閉し、電子温度計を設置するなど徹底した温度管理のもとをビリヤニを炊き上げている。

「客は待たせてもビリヤニは待たせない」と、時間指定の完全予約制ビリヤニ専門店をオープン

【ビリヤニ大澤】では、炊き上がりが一番おいしいビリヤニをベストなタイミングで楽しんでもらうため、“炊き上がり時間”に合わせた一斉スタート、1日2回の完全予約制を敷いている。

「大鍋で大量調理するビリヤニを、炊き立てで食べてほしいので、お客さまには同時に来てもらう必要があります。また、以前の間借りでビリヤニを提供していた際、お客さま同士でずっと話をされていて、ビリヤニが乾いてカピカピになってしまうことが結構あって、カウンターのみで“ビリヤニと向き合ってほしい”という想いから、炊き上がったビリヤニ鍋を囲うコの字カウンターに設計してもらいました」

目の前で盛り、最短距離で提供し、炊き上がりの風味を味わってもらえる最小のスペースで、最高の仕上がりを提供する。また、ビリヤニの繊細かつ刺激的な味の重なりを楽しんでもらうため、手で食べる人には平皿で、スプーンを使う人にはやや深めの皿で提供。特注の皿はもちろん、スプーンも「金属の味でビリヤニの邪魔をしないように」とホーローのものを揃える、徹底したこだわりだ。

さらに特筆すべきは、お店で提供されるドリンク。「ビリヤニに合う」という視点でセレクトされたドリンクの中でも、【ビリヤニ大澤】の公式飲料とされている、コカ・コーラは徹底した温度管理のもと、提供のタイミングもお客さまが飲みたいタイミングではなく、大澤氏が最もビリヤニを美味しく感じられるタイミングで提供されるほど。このコカ・コーラを最高に美味しく味わってもらう為、最初に提供される水はあえて常温で提供しているという。

※Coca-ColaはThe Coca-Cola Companyの登録商標です。

一人数万円するレストランのコース料理のように定められたルールだが、すべては「美味しいビリヤニ」に通ず。お店に一歩足を踏み入れた瞬間からお店を出るまで、そのすべてで大澤氏のこだわりに触れられるだろう。

CHEF’S COMMENTS

シェフからのひとこと

毎週来てくれていた常連さんが大勢いるなかで、“食べたいのに食べられない”状況ならと、テイクアウトを始めたんですが、お客さまが家庭で味わうなかでも、今回のミールキットの良さは“炊き立て”が食べられることだと思っています。

冷凍でもテイクアウトでも出せない、炊き立ての香りと米粒の立体感を味わっていただきたいです。家庭用に最大限、美味しさを追求して調合したスペシャルバージョンなので、工程や分量を守ってさえいただければ、大きく味がぶれないように仕上げてありますし、作るたびに絶妙な味の変化を感じられたり、より美味しく仕上がるようになっていくので、ビリヤニの奥深さにはまってくださったら嬉しいです。

このお店の商品

ビリヤニ大澤:チキンビリヤニキット★
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