

テレビの人気密着番組でも取材される「サスエ前田魚店」は、全国の有数の水揚げ額を誇る静岡県焼津で、60年以上の歴史を誇る“魚屋さん”。地元に根付いた鮮魚店に違いないが、いわゆる高級店をはじめ、国内外の一流料理人から注文が殺到する、魚の卸店でもある。5代目店主・前田尚毅氏が中心となり、漁師・魚屋・料理人が一丸となって、魚の品質を劇的に向上させただけでなく、卸先である静岡の料理店の数々が“予約困難店”になるという、静岡の“予約困難店ブーム”を作った陰の立役者。
サスエ前田魚店 前田 尚毅 氏
まえだ・なおき●1974年、静岡県焼津市生まれ。「サスエ前田魚店」5代目店主。学生時代は登校前に市場の競りで記録係を務めるなど魚関連の仕事に勤しみ、水産高校卒業後、水産会社で荷受や仲卸しの仕事を学ぶ。1994年、家業のサスエ前田魚店に入り、2024年、代表取締役に就任。町の鮮魚店として寿司やどんぶりの提供など新たな施策を次々に推進するとともに、国内外の一流料理人から仕入れの依頼が殺到する繁盛店を築く。2021年の「ゴ・エ・ミヨ2021」では国内鮮魚店初となるテロワール賞を受賞。著書に『冷やしとひと塩で魚はグッとうまくなる』(飛鳥新社)、『サスエ前田式 最高に旨い魚の仕立て術』(産業編集センター)がある。

サスエ前田魚店とは
国内外のスターシェフから注文が殺到する魚屋さん
静岡市や焼津市には、天ぷらや日本料理、フレンチまで多彩な名店が肩を並べ、全国からフーディーを呼び寄せる食通垂涎の“ 予約困難店” が名を連ねている。そうした店々の多くが魚の目利きを託すのが、地元に根差しながらも国内外の一流料理人から仕入れの依頼が殺到する名店、【サスエ前田魚店】だ。


高級店に卸すだけでなく地域の「魚屋」としての一面も持つ、地域を愛し・地域に愛される「サスエ前田魚店」
かつては約200店舗に魚を卸していたが、2025年現在は代表である前田尚毅氏が選んだ80店舗のみに絞り取引が行われ、その料理人の多くは、前田氏から魚の目利きや最適な処理法を学び、単に魚を売買する仲卸ではなく、魚の師と仰ぐ。
前田氏を密着取材したテレビ番組では、こうした料理人らと長年続けている魚の研究会「夜な夜な会」が放送され、静岡県内の数々の卸先がブレイク。「静岡に、全国からお客さまが足を運ぶお店を増やす」ことは、まさに前田氏が長年目指してきたことでもあったという。
日本一深い駿河湾で獲れる魚“駿河前”のポテンシャル
「静岡県の魅力、駿河湾の良さをお伝えしたかった。駿河湾は最深部2,500mに達する日本一深い湾で、横幅も広いし、日本一高い山脈など自然の魅力が沢山あるんです。焼津は田舎ですが、全国から沢山の人に来ていただくためにも、魚の状態をより高品質に保持したいと思っていました」と前田氏。
富士山の河川がもたらすプランクトンや火山灰が良質な栄養素となっている焼津港は、1000を超える魚種が生息し、全国有数の水揚げ量を誇る。そんな駿河湾で穫れる魚を、江戸前に対して“駿河前”と呼び、地域に根ざした独自のブランドとして確立した。


魚に“生きたライブ感”を宿す、“チーム前田”のバトンリレー
前田氏が国内外の一流シェフから「魚の天才」と呼ばれる一番の理由は、魚における究極の品質指標ともいえる“生きたライブ感”の追求だ。新鮮という言葉をも超越した、この“死んでいるのに途切れていないライブ感”とは、漁獲から料理人の手に渡るまでのプロフェッショナルな連携無くして実現できない。
地元漁師たちに「料理は、海中で魚が針を食った瞬間から始まる」と訴え、魚にストレスを与えない捕り方で、生きたまま港まで運ぶことを提唱し続けた。当初は手間のかかる作業を受け入れてくれる漁師は少なかったというが、実際に料理人のもとで自身が釣った魚の変化を味わってもらい、徐々に賛同する人を増やしていったという。


生きたまま運ばれた魚は、魚種やサイズ、体温、水揚げ時の状態はもちろん、卸し先の料理、店の保冷管理、客の来店時間まで逆算して行われるという、オーダーメイドの精密処理技術で仕立てられるのも特徴。市場に専用で設けた作業場で一瞬にして血抜き、神経〆(神経抜き)、冷やしを同時に行う。
このひと手間が生臭さを防ぎ、魚の持ち味は驚くほど引き出される。また、“冷やし”は、身の締まり具合や旨味の出方をコントロールするため、かき氷に着想を得たシャーベット状の氷、鯛焼き器に着想を得た魚型の氷、海洋深層水や真水など12種類の氷を使い分けるというこだわりだ。こうして漁師から魚屋(前田氏)に、そして料理人へと、同志とも言うべき“チーム前田”のバトンがスムーズに繋がることで、“生きたライブ感”が宿った魚は、皿の上でなお瑞々しい存在感を放つ一皿として完成する。
COMMENTS
店主からのひとこと
静岡県には、日本一高い富士山があり、日本一深い駿河湾があります。ミネラルやプランクトン、微生物に恵まれたこの海には、駿河ならではの“おいしさ”がある。そんな魅力を、ひとりでも多くの方に知っていただきたいと思っています。
今回の煮付けも、杉山さんが魚本来の味わいを引き立てるように仕立ててくださいました。駿河湾が育んだ海の幸の旨味を、ぜひご堪能ください。

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