2007年のオープンから3年後の2010年には「ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉 2011」で一つ星を獲得。世界中から予約が殺到する、常連でもなかなか予約が取れない焼き鳥屋になる。目黒駅から2分の路地裏に佇む「鳥しき」は、割烹を思わせる落ち着いた外観で客を迎え、独自の近火の強火で炭火を操り、常に最上の焼き鳥を提供している。
鳥しき 池川 義輝 氏
いけがわ・よしてる●1972年東京都生まれ。サラリーマン時代を経て、100軒以上の焼き鳥屋を食べ歩く中で、中目黒鳥よしに衝撃を受け入門。7年間の修行を経て、2007年に鳥しきをオープン。
焼き鳥を居酒屋の延長ではなく、鶏を楽しむコース料理として捉え、焼き鳥というジャンルを現在の地位にまで高めた焼き鳥界を牽引する人物。炭を積み、団扇を煽り、炎のエネルギーを鶏に込めた五感で楽しむ焼き鳥を出し、全国のみならず、世界中から多くの客を集めている。
鳥しきとは
一つ一つ丁寧に積み上げていく
焼き鳥ってすごく原始的な食べ物なんです。鶏をただ切って、焼いて、調理しただけっていう。
シンプルなものほどとても深くて、自分がこれでいいと思った瞬間それだけの味で終わってしまう。今でもどうしたらより美味しく焼けるか、日々進化をさせ続けています。
全国の鶏を十数種類試してたどり着いた理想の鶏
※写真はイメージです
焼き鳥で使う鶏は身の柔らかさが重要なんです。鶏肉は火を入れる過程で身が固くなり、旨味も感じにくくなってしまいます。お店で使っている伊達鶏は自由活発に動き回れる開放鶏舎で育てられていて、ゲージで育てられている鶏と違って自分で運動しています。だから伊達鶏には“独特のやわらかい歯ごたえ”があり、それが食べたときにパリッという食感と旨味を生み出しています。
「池川氏の技術の結晶」炭・金槌・団扇の三種の神器で実現する近火の強火
火を入れるということは水分を抜いていくことを意味します。水分には旨味が含まれているので、水分を抜いていくということは同時に旨味も抜けてしまうということを意味します。
お客様にはジューシーな焼き鳥を味わってもらいたいので、我々職人としては炭(熱)が水分を抜いていく中でどれだけ水分(旨味)を閉じ込めていけるかという「炭との戦い」に挑むこととなります。
そんな炭との戦いの中で辿り着いたのが、肉を極力炭火に近づけて焼くことで肉の表面をコーティングし、旨味を逃がさない“近火の強火”という焼き方でした。
極力強い火で焼いていきたいと思っているので、炭には火力が強く、それでいて火が長持ちする「紀州の備長炭」を使用しています。
火鉢に敷き詰めるように炭を組むために、金槌で炭をたたき割り、隙間に炭を埋めていきます。このようにして焼き鳥にとって理想の火力を維持していきます。
火から近いほど火力は強くなる。その一方で肉にストレスがかかってしまう。そこで串を回し、団扇で煽ることで表面の熱を逃がして輻射熱で火を入れていく。こうすることで表面をコーティングし、肉の旨味が逃げない焼き鳥になるんです。
今回の商品(親子丼)に込めた思い
焼き鳥が好きだけれども、なかなかお店に来ることが難しいというお客様に「ご自宅で気軽に鳥しきの味を楽しんで頂きたい」という思いから、最後の〆として出している人気メニューの親子丼を開発することになりました。
親子丼はスーパーでも買える非常に身近な料理ですので、「普通の親子丼ではない焼き鳥屋の親子丼」を自宅でどう表現するのか非常に心を砕きました。一番こだわった部分は 鶏肉につけた “焼き鳥の薫香” です。これによって普通の親子丼にはない、焼き鳥屋で作った炭火の匂いがする親子丼を実現することができました。
CHEF’S COMMENTS
シェフからのひとこと
コースの〆に出す丼なので、お茶漬けを啜るように飲める親子丼を意識しています。親子丼というよりも、鶏肉を閉じ込めた卵かけご飯という軽い感じです。
両方のおいしさを活かすために、卵白と卵黄を分けて入れるので、生から半生までの色々な状態が楽しめ、それぞれの味の違い、重なり合った時の滋味など、卵のおいしさを食べ尽くす人気の〆メニューです。
手軽にお店のプロの味を楽しんでもらいたいと思って作った商品です。作り方も動画で解説していますので、ぜひ肩ひじ張らず楽しんでいただければと思います。
このお店の商品
名店のこだわりを知る
にくの匠 三芳 / 伊藤 力 氏
和牛への深い愛情とあくなき探究心で肉愛好家を魅了する今日の肉料理専門店。
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI / 岩柳 麻子 氏
美しさと美味しさを兼ね備えた菓子を求め全国からファンが訪れる名店。
京天神 野口 / 野口 大介 氏
趣向を凝らした料理と温かいおもてなしで人々を魅了する京都の名店。完全予約制。
やまぐち / 山口 正 氏
完全紹介制にも関わらず2年先まで予約が埋まる京都祇園のイタリアンの名店。
緒方 / 緒方 俊郎 氏
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ビリヤニ大澤 / 大澤 孝将 氏
予約受付開始と共に即満席となる完全予約制のビリヤニ専門店。
カルパシ / 黒澤 功一 氏
1日24食限定で週4日営業という狭き門。スパイスカレー界きっての 予約困難店。
焼肉ジャンボ / 南原 範充 氏
都内3店舗を展開する焼肉専門店で全国屈指の予約困難店。予約は常に1~2ヶ月待ち。
Nabeno-Ism / 渡辺 雄一郎 氏
「ミシュランガイド東京 2017」で一つ星、「ミシュランガイド東京 2019」から二つ星を獲得。
鳥しき / 池川 義輝 氏
「ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉 2011」で一つ星を獲得。
カッチャルバッチャル / 田村 修司 氏
「ミシュランガイド東京2023」でビブグルマンを獲得。
柳家 / 山田 和孝 氏
「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」で二つ星を獲得。
4000 Chinese Restaurant / 菰田 欣也 氏
四川料理の源流で30年間、研鑽を積んだ技術。
マンチズバーガー シャック / 柳澤 裕・裕美子 氏
国内外から高い評価を得ており、海外VIPも歓喜した名店。
シバカリーワラ / 山登 伸介 氏
カレー激戦区・三軒茶屋で常に行列が絶えない。TVにも多く取り上げられる人気店。
TACUBO / 田窪 大祐 氏
「ミシュランガイド東京2017」以来連続掲載。毎月、すぐに満席になる予約困難店。
とんかつ成蔵 / 三谷 成蔵 氏
「ミシュランガイド東京 2017」以来掲載(ビブグルマン)。とんかつ業界をけん引する名店。
銀座しのはら / 篠原 武将 氏
「ミシュランガイド東京 2018」から一つ星。「ミシュランガイド東京 2020」以降二つ星獲得。
金色不如帰 / 山本 敦之 氏
「ミシュランガイド東京 2019」以降連続で一つ星獲得。世界最高峰のラーメン店の一軒。