

翌月分の予約枠が解放されるやいなや、瞬く間に埋まる予約困難店。静岡県焼津市にあって、来客の約7割は県外から足を運ぶという、全国にその名を轟かせる「茶懐石 温石」。長年の経験と飽くなき探求心に裏打ちされた魚の処理技術で、国内外の一流料理人から仕入の依頼が殺到する「サスエ前田魚店」と、祖父の代から3世代にわたって取引を続ける。その妥協なき手あてが施された新鮮な魚を主役と捉え、店主・杉山乃互氏の“引き算の美学”で仕立てた食体験を提供している。
温石 杉山 乃互 氏
すぎやま だいご●1984年、静岡県焼津市生まれ。料理人一家に生まれ、幼少期から料理の道に進むことを自然と意識し、高校卒業後は父も修行した東京・目白の茶懐石の名店「和幸」で6年間研鑽を積む。
24歳で焼津「茶懐石 温石」で父の右腕として働き始めたのち、2代目店主に。蕎麦店として創業した祖父、「茶懐石 温石」として新業態をスタートさせた父に続き、親子3世代にわたり「サスエ前田魚店」と取引を続ける。魚を中心に構成されるおまかせコースを求め、全国からフーディーが足を運ぶ人気店へと急成長。

温石とは
翌月分の予約枠が瞬時に埋まる、静岡・焼津の予約困難店
昨今、全国のフーディーたちが熱い視線を注いでいる、静岡県。さらに焼津インターから車で15分と、決してアクセスが良いとはいえない住宅地に、翌月分の予約枠が解放されるやいなや、瞬時に埋まる予約困難店がある。ゲストの約7割が県外から足を運ぶという、全国にその名を轟かせる「茶懐石 温石」だ。そんな全国のグルメ達を魅了する理由は、二代目店主・杉山乃互氏による洗練された料理体験にある。


焼津市の料理人一家に生まれ、幼少期から自然と料理の道に進むことを意識していたという杉山氏。高校時代から茶道を学び、卒業後は先代の修業先である東京・目白の茶懐石の名店「和幸」で6年間研鑽を積んだのち、24歳から焼津「茶懐石 温石」で働き始め、その後、店を継いだ。当初は「東京の名店に敵うはずがない」と感じていたというが、日本中の一流料理店から注文が殺到する「サスエ前田魚店」の前田尚毅氏の姿に刺激を受け、「地元でも都会に負けない店が作れるはず」と、前田氏に弟子入りを志願した。
「サスエ前田魚店」率いる“チーム静岡”と、素材の飽くなき探求
祖父・父・乃互氏と親子三代にわたり「サスエ前田魚店」と取引を続けている杉山家。高校時代から修業に備えて、「サスエ前田魚店」で魚の水洗いなどを勉強していたという杉山氏は、前田氏を“魚の師”と慕い、特別な師弟関係を築いている。
数年前から月1ペースで、店の営業後にひっそりと行われている魚の研究会「夜な夜な会」では、前田氏をはじめ漁師・魚屋・料理人らとそれぞれマンツーマンで膝を突き合わせ、魚の仕込みから串の打ち方、焼き方、味わいまで徹底的に検証。メディアでこの「夜な夜な会」での杉山氏も映し出され、「茶懐石 温石」の名はさらに広く知られることとなった。


多くの一流料理人が「師」と仰ぐ魚屋「サスエ前田魚店」前田氏。杉山氏も師と仰ぎ、駿河湾の食材の魅力をより多くの人に届ける研鑽を続ける。
そうして魚ごとに新たな火入れや調理法を試すなかで生まれた温石の看板メニューが、「金目鯛の鱗焼き」だ。
前田氏によって、数トンの中から特定の大きさや質感で選別された特別な金目鯛を、杉山氏が緻密な火入れで、そのポテンシャルを最大限に引き出した一品は、表面の鱗がパリパリと香ばしく、身は驚くほどジューシーで絶妙なレア加減だ。



生産者とその素材に対して真摯に向き合うからこその、杉山氏の唯一無二の料理。素材を主役と捉えると、「味の9割は香り」であり、香りを重視した料理を追求していると語る。
「昔は県外から購入した素材も使っていましたが、県外の食材だと味が決まらず、つい味を足してしまうことが多かったんです。決まらないのは“持ち味の風味”で、食材が本来持っている“香り”。野菜ならその土地の土の香りなど、後から付け加えることはできないものです。例えば、山口県萩から仕入れた甘鯛と焼津で揚がった甘鯛を食べ比べると、風味・香りが明らかに違くて、どちらも塩はあてるものの、焼津のほうが圧倒的に塩の量を少なくできる。風味は鮮度に直結しているので、海から離れるほど損なわれてしまうんです。」
茶道の「わびさび」に通づる、「引き算」の料理哲学
また、素材の風味や香りを生かすべく、最大限の努力と最小限の構成要素で食材のポテンシャルをより引き出しているのが、「蕪の丸焼き」。蕪の水分を閉じ込めるように、遠火でじっくりと焼き上げることで、ナイフを入れた瞬間、蕪の旨みが凝縮されたジュースが溢れ出す。
「畑で食べた時の感動から遠のかないように」と願う杉山氏の、徹底した“足さない勇気”、いうなれば「引き算」の料理哲学は、高校時代に茶道から学んだ「わびさび」の美意識に通じていた。
「『わびさび』という文化も、“引き算の美学”なんです。良いものばかりをたくさん並べてしまうと、何が良かったのか印象に残らなくなってしまう。対して、“わび”とは、良いものを一つ据えて、それ以外を少し下げることで、良いものだけがより引き立つという、茶の湯の真髄と言われるところ。私が目指しているのも、良いものを多く並べるのではなく、特化した一つを引き立てるために、他の要素をあえて控えるという考えです。」


温石の名物料理のひとつ「鯵の胡瓜巻き」。杉山氏が焼津の鯵の良さを活かそうと考えられた一品。何トンと上る鯵の中からホンの数匹しか出会えない素材を使用する。
CHEF’S COMMENTS
シェフからのひとこと
魚の煮付けは、つい調味料の味をべったりとまとわせがちですが、今回の商品は調味料を引き算し、素材の旨味を引き立てることを意識しています。
例えばお出汁の砂糖を減らして玉ねぎを使うことで、素材の味をマスキングせず、魚本来の美味しさを感じやすくしています。ぜひ食べたときに、皮と身の間の綺麗な旨味を感じてもらえたらと思います。
素材はすべて前田さん厳選の魚を利用しております。駿河湾の豊かな自然が育んだ味わいをぜひお楽しみください。

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